21/官僚と官僚制

政治過程論

鈴木淳平

駒澤大学法学部政治学科

2026-10-29

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今日の目次

  1. はじめに
  2. 政策過程と官僚
  3. 官僚の行動原理
  4. 官僚の公益観
  5. 官僚制
  6. まとめ

はじめに

先週のRPより

TBD

本日の目的と到達目標

目的

政策過程で重要な役割を官僚と官僚制を考察する。政治システムにおける官僚・官僚制の位置付けを議論した後、官僚の行動原理を説明するモデルや官僚の公益観を学ぶ。さらに官僚の効率性について対立する見方を紹介する。

到達目標

  1. 政策過程において官僚が果たす役割を議論できる。
  2. 予算極大化モデルと組織形整モデルの違いを説明できる。
  3. シューバートによる官僚の公益観の3類型を説明できる。
  4. ヴェーバーとマートンの議論をもとに、官僚制の効率性について説明できる。

本日の授業の位置付け

政策過程と官僚

復習:政策過程

Q.政策過程で官僚はどのような役割を果たしている?(WebClassチャット)

官僚 (bureaucrat)

役人。官吏。特に、政策決定に影響力をもつ中・上級の公務員。 (デジタル大辞泉)

  • 第一には、政治家が決定した政策を実施
  • しかし政策形成・決定にも影響
    • 例:日本の法案作成…官僚が立案した内閣提出法案が大多数

プリンシパル=エージェント関係(次回)

本人ができないことを代理人に委任する関係

  • 本人=政治家→代理人→官僚
  • 行政が関与する領域が増えるにつれて、官僚の専門知識はますます重要に

官僚の行動原理

復習:合理的選択理論

  • 経済学における基本的な考え
  • アクターは効用を最大化するべく行動と仮定

官僚も自己利益を追求する存在と捉えることが可能

  • 権力、収入、威信…
  • 二つのモデル:予算極大化モデルvs.組織形整モデル

予算極大化モデル

budget-maximizing model

官僚は自分の属する行政機関の予算を最大化させようと行動する

  • 予算→昇進機会、待遇改善、社会からの注目、有為な人材、大きな影響力…

批判:あまりにも単純すぎる

  • 必ずしも自己利益だけではない(→公益観)
  • 予算削減=不利益というわけではない

組織形整モデル

bureau-shaping model

官僚が予算に対して持つ選好は地位によって異なり、予算極大化が直ちに実現されるわけではない

  • エリート官僚…予算よりは昇進の機会→自分にとって望ましい組織の形を作りたいし、予算削減に協力することで出世する機会も
  • 非エリート官僚…昇進の機会なし→予算極大化を選好、しかしフリーライダー問題にも直面

アンケート

あなたは予算極大化モデルと組織形整モデルどちらにより説得力があると思いますか?

WebClassアンケート

官僚の公益観

官僚の公益観

官僚は自己利益だけでなく「公益への奉仕」という義務感でも行動

シューバートの3類型

公益観 官僚の役割
合理主義 政治が決定 忠実な執行者
理想主義 官僚が定義 公益の実現者
現実主義 利害調整の結果 調整者・執行者

質問

合理主義・理想主義・現実主義という3つの公益像のうち、あなたはどの像を持った官僚が最も望ましいと思いますか。

理由も含めててチャットに書き込んでください

日本の官僚のタイプと変遷

日本の官僚は公益観に応じて3つのタイプが存在

  • 国士型官僚…理想主義的な官僚
  • 調整型官僚…現実主義的な官僚
    • 70年代以降に登場
    • 族議員や利益団体の登場・活発化に対応
  • 吏員型官僚…合理主義的な官僚
    • 80年代以降に登場
    • 自民党優位の確立と社会の成熟を背景

官僚制

アンケート

あなたは「官僚制」という言葉にポジティブあるいはネガティブどちらの印象を抱きますか。

WebClassアンケートで回答

マックス・ヴェーバー

官僚制は社会の近代化にとって必要不可欠な合理的な存在と主張

  • 構成要素:規則による規律、明確な権限・ヒエラルキー、公私分離、文書主義、資格任用制、専業制
  • 特徴:統一的な意思決定、公平中立で予測可能な対応、強い持続性

Max Weber (1864-1920)

ロバート・マートン

官僚制は逆機能をもたらし不効率になると指摘

  • 法規万能主義…法律・規則を絶対視し自己目的化
  • 繁文縟礼…規則が必要以上に細かくなる
  • セクショナリズム…縄張り争いと責任の押し付け合い
  • 権威主義…上位者が下位者を支配

Robert Merton (1910-2003)

まとめ

本日の目的と到達目標

目的

政策過程で重要な役割を官僚と官僚制を考察する。政治システムにおける官僚・官僚制の位置付けを議論した後、官僚の行動原理を説明するモデルや官僚の公益観を学ぶ。さらに官僚の効率性について対立する見方を紹介する。

到達目標

  1. 政策過程において官僚が果たす役割を議論できる。
  2. 予算極大化モデルと組織形整モデルの違いを説明できる。
  3. シューバートによる官僚の公益観の3類型を説明できる。
  4. ヴェーバーとマートンの議論をもとに、官僚制の効率性について説明できる。

次回までに

事後学習

  • 授業資料を見直し、目標到達をセルフチェック
  • WebClass上でのリアクションペーパー入力(日曜日まで)

事前学習

  • 【事前】参考書(伊藤ほか10章)、教科書(IX-6)を読む。