シラバス
授業概要
現代における政治分析とは、選挙結果や民主化、国際紛争といったさまざまな政治現象の原因をデータや証拠に基づいて探求する営為に他なりません。この科目では、そのような因果関係の分析(=因果推論)を行う能力を身につけることを目的としています。この「現代政治分析入門1」では、社会科学方法論の基礎を丁寧に学び、政治をはじめとした社会現象についての因果推論をするためにはどうすればいいか、その作法を根本から習得していきます。本科目は主に講義方式によりますが、アクティブラーニングを用いたワークを取り入れ、お互いに学び合いながら知識の習得を深めるとともに、因果推論を実践的に経験できるよう手助けをしていきます。こうした経験を通じて政治現象や社会現象を深く洞察できる能力だけでなく、今後の職業生活にも活かせる能力をも身につけられるでしょう。
キーワード:因果推論、社会科学方法論、規範的説明/経験的説明、独立変数/従属変数、相関関係/因果関係、分析の単位、事例研究
目的と到達目標
本科目では社会科学方法論の基礎を広く丁寧に学び、政治学において因果推論を行う理論的視座を身につけることを目指します。本科目は法学部学位授与の方針DP2(幅広い教養と専門知識)およびDP3(課題解決力と表現力)に特に強く関わり、またDP4(多様な他者を尊重し協働する力)にも関わります。
本科目の履修によって、具体的には以下の目標の達成が期待できます。
- 政治学において厳密な因果推論を行うことの意義を説明できる。【DP2、DP3】
- さまざまな政治現象について、「科学的な説明」とそうでない説明を識別できる。【DP2、DP3】
- 因果関係の定義とそれを立証するための基本的な方法を説明できる。【DP2、DP3】
- 少数の事例から因果関係を推論・実証する基本的な方法を説明できる。【DP2、DP3】
- 自らの興味関心に沿って、因果推論を伴う基本的な研究計画を立案できる。【DP3】
- グループワークを通じて、相互に学びの深化に貢献できる。【DP4】
授業内容

履修上の留意点
- 基本的には担当者が作成したスライドに沿って、原則対面での講義形式で行います。ただしやむを得ない事情により半期7回を上限にオンラインに振り替えることがあります。
- 授業資料等はWebClassで共有します。ワークシート等は教場で配布しますが、スライドは各自ダウンロードしてください。
- 随時アクティブラーニングも取り入れ、なるべく「聞くだけ」の授業にはしない予定です。アンケートやディスカッションなどの形で、担当者と履修者、履修者同士でやり取りし、学習効果を高めます。
- 特に後半の数回ではグループワークを行い、復習とともに政治分析の練習を行います。
- 担当者と連絡したい際は、必ず初回にアナウンスするアドレスにメールを送付してください。WebClassのメッセージ機能では気づかず返信できないことがあります。
- メールを送付する際には、初回にアナウンスするメールの書き方を遵守してください。守っていないメールには返信しないことがあります。
- 質問の際は適宜オフィスアワーもご利用ください。オフィスアワーと居室は初回にアナウンスします。
- アンケートやグループワーク等ではオンラインのツールを用いますので、できるだけ電子機器(スマートフォンやタブレット、ノートPC)を持ってきてください。
- 担当者の都合や現実政治の事情により、授業計画を変更する可能性がありますので、ご承知おきください。
- より実践的かつデータ分析に特化した科目として、同じ担当者による「現代政治分析入門2」が後期に開講されています。本科目で因果推論の考え方を身につけたうえで履修すると一層理解が深まりますので、ぜひお勧めします。
遠隔授業(オンライン授業)の実施回数
やむを得ない事情により半期7回を上限にオンラインに振り替えることがあります。
評価
- 平常点(30%)…(到達目標1-4, 6)事前学習と事後学習に対する取り組みを評価します。まず毎週の授業開始時間を締め切りとして、事前課題(教科書の指定部分)を読んできたかWebClass上のチェックフォームに入力していただきます(10%)。次に毎回の授業の3日後を締切として、合計100字程度のリアクションペーパーをオンラインで提出していただきます(20%)。
- 復習セッション(20%)…(到達目標1-4, 6)学んだこと復習するグループワークセッションを第13回に実施します。授業の大まかなトピックについて5人程度で1班に分かれてワークし、その成果を共有してもらいます。知識の定着度合いをミニクイズで測るとともに(10%)、班内でのワークでの貢献度を相互に評価します(10%)。
- レポート(50%)…(到達目標5, 6)復習セッションと同じ班で協力し、研究計画案の作成と提出をしていただきます。授業の内容を踏まえて政治・社会現象について科学的な仮説を提示し、その検証のためにふさわしい方法を立案できているかをスライドにまとめて提出します(10%)。成果物の質は班の間で相互に評価します(30%)。また、作業で相互協力できているかも班の中で評価します(10%)。
教科書
購入必須の教科書としては以下。各回授業の予習で対応部分に目を通してきてください。
- 久米郁男(2025)『原因を推論する[新版]』有斐閣.
- 社会科学方法論入門の決定版。学生のうちにぜひ読んでおきたい。
その他指定された文献はWebClass上で共有します。
参考書
今科目を学習する上で参考になる図書としては以下の通りです。
- 浅古泰史・善教将大編(2025)『数理とデータで読み解く日本政治』日本評論社.
- データや数理分析を駆使して日本政治経済を分析した好著。現代の政治分析の応用例として読め、日本政治の理解の刷新にも有用。
- 河野勝(2018)『政治を科学することは可能か』有斐閣.
- 著者の日本政治分析を集めた論文集。科学としての政治学の応用例として、そして現実政治との向き合い方との関連を考える材料に。
- 松林哲也(2021)『政治学と因果推論』岩波書店.
- より統計学からアプローチした因果推論の入門書。因果関係の反実仮想アプローチや、具体的な手法(実験、回帰不連続、マッチング)を学ぶのに最適。
学生による授業アンケート結果等による授業内容・方法の改善について
担当者は新任のため、前年度アンケートは実施されていません。今後行われるアンケート結果を踏まえ、必要に応じて改善していく予定です。
アクティブラーニング型の授業科目
授業中の問いかけやアンケート、リアクションペーパー、グループワークなどの形で、具体的な政治・社会現象を題材に因果関係を考えるアクティブラーニングを積極的に行います。